最終レポート2

薬学部1年男子


この少人数ゼミを約3か月間受講して、私は日本や世界における食や環境問題の現実、私たちの日々の食卓の向こう側にあるもの、身近な所に存在した豊かな自然、コミュニケーションの大切さなど、普通の講義では決して学べないようなことを深く学ぶことができた。このゼミは間違いなく、私が小学校から受けてきた授業の中で最も自分自身を成長させてくれた授業となった。
特に印象深かったのはフィールドワークだった。そこで私は、食料生産はたくさんの人々の苦労や、自然界の生物、土壌など様々な要因に支えられているのだと強く感じた。現在地球規模で進行する環境破壊の中で、農林水産業は大きな危機に直面し、同時に後継者問題も抱えている。私たちは今一度、農林水産業の価値を再考するべきなのではないか。このゼミのメンバー全員が将来農業に携わるわけではないだろうが、このフィールドワークに参加した私たちだからこそ、そこで培った学びを多くの人々に伝え、将来の食のために自分なりにできることを実践していく義務があると思う。また、私はこのフィールドワークを通して、実際に現地で学ぶことでしか得られない知識もたくさんあるのだということを実感し、このような体験型の授業にとても興味を持った。そこで、私は今度の夏季休暇を利用して、集中講義科目の「フィールド科学研究入門」を受講することにした。その講義で屋久島の自然を自分の目で見て、自然と人間、そして生物との相互の関わりについて深く学びたいと思う。
このゼミにおける私の学びは、もちろんフィールドワークに限らず、普段の講義でもたくさんの大切なことを学んだ。これまでの講義では、Community Involvementの意義、リーダーシップ概論、グループ内での合意形成の重要性、現代の地球環境問題の相互関係、田んぼ検定、食育などなど、実に多岐にわたるものだった。それら1つ1つの講義で、私は先生方のお話や私たちへのメッセージ、メンバーの斬新なアイデアに耳を傾け、メンバーと本気で議論し合うことで、さまざまなもののとらえ方、考え方を学んだ。私がこれほどまでに他人の考えを熱心に聞き、自分の意見を率直に述べたことは今までなかったと思う。このような経験は、ただ講義室で座って聞くだけの授業では決してできないだろう。他人の考えを聞くことで自分自身の考えを違う角度からとらえ直し、より広い視野を持って物事を考えることができるようになるのだということを実感した。そして、毎回の講義が終わるたびに、私は自分の中で何かが変わろうとしているのを感じていた。おそらくこのゼミは、自分の今後の人生を左右するほどのものだったのかもしれないと、今では思っている。
さらにこのゼミは、私の大学生活全般に関する考え方を変えた。私は、先日の講義の中で見たスライドの中のある言葉が印象に残っている。それは、「先生から学び、互いに学び、自ら学ぶ」「机の上で学び、そして現場で学ぶことで、豊かな学生生活を送ることができる」という内容だった。それまで私は、単調な毎日の繰り返しに嫌気がさし、どうやったら今よりも生き生きとした自分らしい大学生活を送ることができるのだろうかと考えていた。そんな中でこの言葉を目にして、今までの自分の物事に取り組む姿勢が受け身だったのだと感じた。一見つまらなさそうな授業や友人と交わす何気ない会話の中にも、自分の好奇心をそそる何かがあるのかもしれないし、そのことに気付かないまま受け流してしまうのは、やはりもったいないことである。学びの楽しさとは、自分が興味を持った事柄をさらに自分で突き詰め、自分の目で確かめ、新しい発見をすること、そしてその発見を仲間と共有することにあるのではないかと思う。せっかく大学に入学したのだから、これからはより自主的で探究的な学びの姿勢を大切にしようと決意した。
非常に短い間だったが、私はこのゼミで良き師と学友に巡り合うことができた。ユニークで楽しい講義を通して私たちの学びの可能性を広げて下さった佐藤先生、朝廣先生、比良松先生に深く感謝したい。また、ともに学び成長することのできたゼミのメンバーにも感謝したい。このメンバーとの交流はぜひ今後も続けたいと強く思う。「弁当の日」開催でも何でもいい。とにかく、このゼミで学んだことをみんなで共有し、これからも実践していけたら幸いだ。そして私は、成功することではなく成長することを目指して、自分らしい人生を今後も歩んでいこうと思う。