最終レポート3


理学部1年男子


講義名、糸島の環境保全のススメ。入学式で配られた「全学教育科目履修の手引き」には、伊都キャンパスの生物多様性保全事業と、里山や生物の保全活動についてかかれていた。私は、将来的に生物多様性里山の生態系について専門にしたいと考えていたため、このゼミをとろうと決意した。
ゼミの中では、環境関連のことを素材にしながら、リーダーシップ育成などを中心に学習した。その活動自体はあまり保全活動とは関係のないものだった。しかしよく考えてみると、この活動による学びは、おおいに環境保全に関わってくる。例えば、環境保全活動は、一人で行えるものではないため、誰かが指揮を執っていかなければならない。そのときに、ここで学んだリーダーシップが試される。活動の企画者の注意点や、参加者への気配り、安全管理など、学んだ全てが保全活動を行う上で重要な要素である。私たちが現場に立って保全活動を行うときに役立つことを、たくさん吸収することができた。
一番大きかったのは、様々な環境保全のあり方を学べたことである。私はこれまで、環境保全というものは、生態系の保全を中心に考えてきた。私が生物学科に入学した理由も、生態系について詳しく学び、将来保全活動に生かそうと思っていたからである。しかし、このゼミを受講して、自分の視野の狭さを実感した。というのは、環境保全には、農業・漁業など、人間活動が大いに影響していたからである。環境保全について、重点を置いていたのは、野生生物の保全であった。というより、それ以外に考えたことがなかった。しかし、野生生物を保全するには、その生息環境を保全しなければならない。その生息環境を保全するには、自然のままでは荒廃してしまうため、手を加えていかなければならない。では、その手を加える人は誰か。そう考えていったときに、初めて農業や漁業の重要性を認識することができた。最初に自然環境の変化に気づくのは、現場で作業する農家や漁師であり、それを知らせるのも彼らである。そして、現状では、その変化に真っ先に対応して手を加えるのも彼らである。間伐や植林などをしてくれる彼らがいるからこそ、里山の自然環境と生態系は保持されているということを認識できた。そして、環境保護というものは、ある一定の分野だけで行おうと思っても限界があるので、理学・農学・水産学など、いろいろな分野と共同ネットワークをつくって対応していく必要があると気づいた。
また、このような現場での保護・維持活動や研究以外の環境保全活動についても学んだ。それは、人々に「自然の楽しさ」を認識してもらう活動である。私は幼い頃、地元で開催される自然観察会によく参加していた。今考えると、このときに私は自然の楽しさをすでに実感していたのかもしれない。そしてゼミでは改めて自然の楽しさを学んだ。酪農体験、漁業体験、田植え体験を通して、自然と隣り合わせの活動は楽しいことを学び、ふと現れた珍しい動物に純粋に感動し、自然の恵みを味わった。さらに、楽しさを実感させる活動を企画したり、サポートする側の人々の顔も見ることができた。田植え体験では、彼らは、安全に気を配りながら、どうすれば参加者に自然の楽しさをわかってもらえるかを常に考えているようだった。酪農・漁業体験では、彼らは、どうすれば自然のすばらしさをより多くの人に届けられるかに頭を悩ませていた。さらに、どの活動でも、彼ら自身が自然を楽しんでいるようだった。私たちが、そんな彼らにブレスト、キャッチコピーなどで、少しでも貢献できていればうれしいものだ。
ゼミ全体を通して思ったことは、環境保全活動は、自分が楽しいからこそ続けられるということである。様々な広い意味での環境保全を学んできたが、その活動を仕事にしている人も、NPOでやっている人も、そして先生方も、好きで、楽しみながらやっているという感じが強く伝わってきた。環境保護活動のあるべき姿を垣間見ることができたと思う。
この3ヶ月で、環境保全活動に関する知識・行動力・リーダーシップは大幅に増したと思っている。私が知る限りでは、確かに九大で一番おもしろい講義だった。
これからは、この経験を生かし、様々な活動に積極的にアタックしていきたい。