最終レポート7


工学部1年女子


このセミナーを受講して本当によかった。だるい週の始めも5限に少人数セミがあるとおもうと苦にならなかった。はじめにこの講義を選択したのは環境問題に関心があって何か身近な問題や取り組みを知りたいと思ったのがきっかけだった。しかし実際受講してみると環境問題についてというよりも、なぜ環境問題が重要になってくるのか、環境問題に対する考え方を自分に問いかけるような機会を得ることができた。ここで大学のほかのどの講義でも教えてくれない大切なことを学んだ。また実習を通してヒトとして大事なこと、忘れかけていたことを教えていただいた。
このことがこの少人数セミでの一番大きな学びだったと思う。
人はどうしても地位や功績、名誉といったような表だった人に注目する。しかしこのセミナーではそのような偉人は1人として出てきてない。我々は農家、酪農家、漁師と生きる上で支えていただいている生産者の方から多くのことを学んだのだ。
特に実習を通してその方々と交流でき感謝の思いが一段と強まった。我々が生きていけるのは偉人ではなく農家の方をはじめとする生産者の方のおかげなのだと。また一緒に作業させていただくことで生産することがどれほど厳しいものなのかを感じた。それは作業が厳しいとか肉体的なものではない。その生産を取り巻いている環境である。特に酪農家の方の言葉が印象に残っている。「酪農家は牛乳を生産するためには牛の世話だけが仕事ではなく牛を育てる山の維持、管理もしなければならない。しかしそれだけの作業をしてまでおいしい牛乳を生産することが必要かというと正直答えるのは難しい。」と。味のよい牛乳を生産するという理想となるべくコストを抑えなければならないという現実が背反していた。また農家においても同様のことを話していた。ここでわれわれ消費者が質の良さを求めるだけでは生産者はますます厳しくなる。今回の実習で実感したように手間隙かけた牛乳や米は特においしい。この味、生産者の思いをもっと多くの人に知ってもらいたい。一人の力で酪農、農業を変えることはできないが人を通してならいくらでも可能性は広がるはずだ。今日は2人でも明日には10人そしてどんどんこの味を求める人が広がればきっと酪農、農業の世界は変わるだろう。
セミナーで学んだ環境問題について。前にも述べたように、最近環境問題を解決すべき問題としてだけではなくそれに対する意識の持ち方を考えるようになった。我々は漠然とした数字、データに惑わされて本当に大事な事を忘れているように感じるからだ。環境問題を重視するのは人間が生き続けたいからであろうがそれ以前の問題として、今現在、人間らしく生きていきているのか。授業でのスライドを見ていっそう強く感じた。殺人、戦争、核兵器と世界的な問題はもちろん自身の生活を振り返っても、今を大切に生きているとは言いがたい。また環境問題を唱えるにあたって、矛盾が生じているのも確かだ。たとえば、二酸化炭素の削減にしてもいくら国や企業が取り組んでも違う世界では戦闘機がうようよしており削減しようとする以上の量を排出している。この現状をどうにかしなければならないと誰もが思うはずだ。にもかかわらず現実は戦争は絶えず日本でも多額の費用が軍事費に投資されている。ここで先進国と発展途上国との立場から考えてみると、環境問題をこれほど深刻な問題としてとらえているのは我々先進国の人間だけなのかもしれない。発展途上国の人々、戦争をする人、巻き込まれている人というのは今を生きるのに精一杯なはずだ。もし私が戦争をしている国の人ならば、いっそう戦闘機を増やして敵から身を守りたいと思うに違いない。先進国と発展途上国とで生じる環境問題に対する意識の違いはおかれた状況があまりにも違いすぎるため統一するのは困難である。ここで先進国は統一しようとするのではなく、発展途上国と連携していかにリードすることが重要になる。では自分には何ができるのだろうか。国の代表者が取り決める条約をただ眺めることしかできないのか。いやそうであってはならない。眺めるだけでは、大げさな言い方ではあるが自分の存在の意味がなくなる。私は何か小さなことでも自ら行動を起こせる人になりたい。今は自分のことで精一杯で流されている方が多いが、このセミナーで学んだように何かやってみないと何も始まらない。リーダーのあり方もしっかり学んだ。後は自分しだいだ。佐藤先生がおっしゃっていた「何かやろうとするその一歩が人生を変える」ことを常に心にとどめておきたい。
最後に、このセミナーを準備していただいた先生方や実習の機会を与えてくださった人に感謝したい。このセミナーを通して人として何倍も大きくなれた。前期でこのセミナーは終わってしまうが、ここで学んだことは大学生活に限らずその先もずっと活きるに違いない。この先どんな境遇にあっても前進し続ける姿勢を持つ大人になろう。